
印鑑登録とは、役所で自分だけの印鑑を登録することで実印として使えるようにすることです。自分が押印したのだと証明するためには欠かせず、より重要な手続きを行う場などで使用されます。では、この印鑑登録は誰にでも行えるものなのでしょうか。
また、印鑑はどのようなものを用意して役所へ足を運べばよいのでしょうか。
印鑑登録で使える印鑑
自身の信用力を証明するための印鑑なので、お店で適当に購入した印鑑は推奨されません。きちんと自分だけのためにオーダーメイドで制作された印鑑が印鑑登録で使用可能で、普段使っている印鑑がすでにあっても実印として登録できない可能性は大いにありえます。
その他にも細かな条件がいくつかあり、まず住民票と氏名を合わせなくてはなりません。この辺は自治体によっても多少変わりますが、苗字だけ彫った印鑑でも認められる場合があります。しかし、より確実に実印として認めてもらうにはフルネームで彫られている印鑑を注文しましょう。
全国的に見かけない、珍しい苗字だった場合も同様です。また、当然すでに登録されている実印は使用できません。印鑑のサイズもいくつか規定が定められており、8ミリ以上25ミリ以下の印影でなければなりません。印影とは実際に押印した時のサイズですが、大抵の印鑑はこのサイズ内で収まります。
とはいえ、オーダーメイドする時にサイズについても確認しておきましょう。もう一つ、判別が難しい書体で彫られている印鑑も拒否される可能性があります。多少複雑なくらいならむしろ可読性の低さから問題ありませんが、どのくらい複雑な書体にするかはよく考えましょう。
シャチハタで多く採用されているゴム印の印鑑も使用できません。もちろんシャチハタ自体実印とは遠い性質を持っているので、普段シャチハタを使われている方は別に印鑑を用意する必要があります。
女性が実印を作る場合
基本的には印鑑登録はフルネームが彫られている印鑑を使用しますが、女性が実印を作る場合は名前だけでも問題ありません。結婚後のことを考えると女性の方が苗字が変わることも多く、後々面倒なことにならないためにも名前のみの印鑑がおすすめです。
しかし、女性でもフルネームで登録するケースはいくつかあります。実印を使用する機会の多い女性は、名前だけの実印では信用力が落ちるかもしれません。その点は自身の職業や家庭環境と照らし合わせながら、どちらで登録するか決めましょう。
印鑑登録が可能な条件
未成年であっても、16歳以上なら印鑑登録は可能です。逆に15歳未満の場合は印鑑登録できず、代理人へ依頼することもできません。外国籍の方も外国人登録をしていれば印鑑登録は可能ですが、日本人と比べて長い名前になることが多く、どのような形で印鑑を作ればよいのかは予め自治体に聞くことをおすすめします。
それ以外は日本人の印鑑登録と変わりません。
実印と銀行印は違う?
実印と銀行印は混同されることも多い2つの印鑑ですが、実印は市町村役場で登録するのに対し、銀行印は金融機関にて登録します。銀行印は銀行口座の開設などで使用するため、より使用先が限定されています。口座開設ごとに登録する必要があるため、それぞれ銀行印を使い分けている方はいくつかの銀行印を所有していることになります。
対して実印は複数個登録できないので、この点でも異なります。実印と銀行印がどちらがどちらだか分からなくなりそうな方は、サイズや書体など分かりやすい部分で差を付けると良いでしょう。また、実印と銀行印の兼用は推奨されません。
一つにまとめておくと紛失や盗難時のリスクが高まり、手間もかかります。
印鑑登録の流れについて
印鑑登録時に必要になるのは、登録に使いたい印鑑に発行手数料分の300円、そして本人確認書類です。
登録に使う印鑑の条件はすでに紹介した通りですが、本人確認書類は提出する書類ごとにそれぞれ対応が異なります。最も手軽なのは、顔写真付きの本人確認書類、つまり運転免許証などです。パスポートも該当しますが、これら本人確認書類は即日で印鑑登録が完了するのでそれ以上手間がかかりません。
健康保険証などでも可能ですが、少し日数がかかることを覚えておきましょう。免許証などを所有されていない場合、すでに印鑑登録を済ませている親族の方などがいれば保証人欄に記入してもらうことで印鑑登録が完了します。
ただし、同じ市区町村で印鑑登録をしていなければ印鑑登録証明書などが必要になるので注意しましょう。
印鑑登録証とは
印鑑登録が認められた場合、同時に印鑑登録証が発行されます。発行する市区町村ごとにデザインが異なりますが、役割は同じです。不動産契約などで印鑑登録証明書を求められた場合、この印鑑登録証を市町村役場へ持参して請求します。
名前が似通っているのでややこしいかもしれませんが、印鑑登録証明書の請求はすでに印鑑登録を済ませている必要があるので注意しましょう。
実印を変更したい場合
実印の破損、紛失等で登録した実印を変更したい場合、印鑑登録と同様に市町村役場に申請します。この際、実印と印鑑登録証、また運転免許証などの本人確認書類が必要になります。その後の流れに関しては、すでに登録してある実印を廃止した後もう一度印鑑登録をやり直します。
廃止届を出せば廃止申請は完了しますし、印鑑登録に関しても一度目の印鑑登録と内容は同じです。また、印鑑登録証も再発行されます。印鑑を登録したことで、以前の実印を使った契約に影響するのではと思われるかもしれませんが、特に影響はありません。
一度交わした契約はそのまま効力を保ちます。
実印は手彫りの印鑑を購入するとより確実
印鑑として印鑑登録時の条件を満たしているのなら、機械製による印鑑も手彫りの印鑑も変わりません。
そのため、他の印鑑は機械製で、実印だけ手彫りの印鑑を購入するという方も少なくありません。手彫りの印鑑はそれなりの値段がしますが、本人が一つだけしか持てない実印だと考えると無駄な出費にはなりません。
また、手彫りにすることで偽造対策にもなります。コピー技術が高まる中で手彫りの印鑑は機械製の印鑑と比較して安全で、実印を使用する場面の多い方ほど無視できないポイントです。最近は手彫りの印鑑も1万円以内で購入できるものも増えているので、以前より手を出しやすくなっているのも魅力の一つです。